溝部「似る」ということを考える上では、ビジュアルやゲームデザインなどに細かく分解して考えるべきではあるんですが、ひとまず大枠でお答えしますと、私が幼少期からゲームが好きでさまざま遊んできた変遷を見るに、新しいゲームというのは「旧来の何かを参考にするか、あるいは現実を模倣するか」で生まれることが多いと思っています。
例えばファミコンからスーパーファミコンへ、初代PSからPS2へと劇的にハードウェアが進化した時代は、可能な表現が増えたことでアイデアを現実から拾ってくることが多かったと思います。では昨今、たとえばPS4がPS5に進化したことで現実を模倣するのに劇的な変化が起きたかと言えば、そうではないですよね。現実からゲームを作ることに限界が来ていて、「ゲームからゲームを作る」ようになっていると考えています。
──考え方はさまざまあり、是非についても考えるべきではありますが、少なくとも海外では掛け合わせでの開発が当たり前になっていて、溝部さんもそこは気にされていないということですね。
溝部そうですね。それこそクリーチャーコレクター系の作品はここ1年ですごく増えたなという印象がありますので、もし『パルワールド』が新しい作品のヒントになっているのであれば私としては嬉しいなと思います。
補足になりますが、著作権法の第一条には立法の目的を「著作物等の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与する」としており、著作権法というのは権利の保護がゴールではなく、文化の発展がゴールということを注釈しておきたいです。権利の保護は別に目的ではなく、あくまで手段なのです。これらはバランスが重要で、模倣や掛け合わせでアイデアを育み、ゲームカルチャーが発展していくのであれば、それは素晴らしいことだと私は思っています。
──これは私(筆者)個人の感覚ですが、例えば『マインクラフト』のようなサンドボックス系ゲームは名前を出さずとも真似して良い空気感があると言いますか、ある程度ジャンル・文化と言えるところまで発展したゲームはそれほど気にされなくなるように感じます。
溝部それもありますね。ちょうど最近、『マインクラフト』も元々はよく似たゲームを参考に作られていたということを知って、「それはそうだよな」と思いました。もちろん法律は守るべきですし、ルールがあるならそれは適切に遵守しなければなりませんが、その範囲なら自由な創作活動が認められるべきだと思っています。
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Source: Y速報