任天堂ハードとしては5万円近くという価格は高くも感じますが、実際には低く抑えられているのは確かな事実です。カナダは約447ドル、韓国は約443ドルとバラツキがありますが、日本を下回る国はありません。
一方で、スイッチ 2の部品コストは400ドル=約6万円と、東洋証券アナリストの安田秀樹氏は試算しています。ゲームハードの専門家らも性能から約349ドルと推測しており、いずれにせよ日本語モデルは赤字になっている可能性が高いと考えられます。
ちなみに、初代スイッチは2017年の発売時、製造コストが約257ドル=約2万8000円(当時)であり、わずかながらも利益が出ていたとみられています。
日本での大幅値上げは失うものが大きい
なぜ、日本だけスイッチ 2は赤字覚悟で安くされているのか?
その主な理由は、おそらく「任天堂にとって日本市場がとても重要だから」です。大手調査会社Omdiaのアナリストは、2024年時点で初代スイッチのインストールベース(ユーザーの手元にある台数)のうち、24%を日本が占めていると指摘しています。
これは、Xbox Series X|Sの2%やPS5の9%(いずれも推計)を遥かに凌ぐ数字です。もし単純に円安をストレートに反映した価格にすると、スイッチ液晶モデルの約2倍となってしまい、日本での強力な地位を大きく損なう恐れがあるのです。逆にいえば、ソニーやマイクロソフトが国内価格を容赦なく値上げするのは「失うものが少ない」からでしょう。
しかし、日本での低価格は、正規ルート以外でのグレーインポート、つまり「日本で安く仕入れて他国で転売する」というモチベーションを高めてしまいます。そこで、任天堂は日本語のみ対応の安価なモデルと、高価な多言語対応モデルの2種類を用意し、転売屋を抑制しつつ、日本市場を保護しているのでしょう。つまり、日本以外の主要な市場では日本語がユーザーが少ないという言語の壁を逆手に取っているのです。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/eb0c16f21501bf55d4b8d5caccd48bdf2c878d2b
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Source: Y速報